其の18 あの樹何の樹?気になる樹♪
思わぬ出会いというのはあるものだ。人と人。人と物。今回の旅でも思わぬ出会いがあった。巨石群に向かう途中で車窓から大きな樹が見えた。大きな樹と書くと大きな樹なんだろうなというくらいしか伝わらないと思うが、その存在感が半端なくて思わず車から降りて樹の所まで行った。これまでに巨木はいくつか見てきたが、この樹のインパクトの強さは私の中では断トツだった。公園の一角にそびえているその樹は『寂心さんの樟』という呼び名で親しまれている熊本県指定天然記念物。幹周りが13.3メートル、高さ29メートルのクスノキで樹齢は約800年らしい。撮った写真を見返してみたりネットの解説を調べたりしているうちに、なぜ私にとってこのクスノキのインパクトが強かったのか気づいた。この巨木は四方に大きな枝を広げて、一本の樹なのに森のように見えるからだ。800年という私の十倍以上の歳月を生きていいるのだと思うと畏敬の念が湧く。家の近所にあったら毎日会いに行きたい樹だ。
『寂心さんの樟』に別れを告げて再び巨石群を目指す。しばらくすると山道に入り、ヘアピンカーブの連なる坂を上っていく。通ってきた町が眼下に広がっている。標高がずいぶん高くなったようだと思った頃に巨石群の案内看板を発見。看板を見ながら辿り着いたのは山の麓で、駐車場も施設もない。ここで合っているのかと一瞬不安になったが、『拝ヶ石巨石群』という案内マップが立てられていたので間違いない。マップのそばに縄が一本張られていた。おそらくそこが入口なのだろうマップの前に車を停めて巨石群を目指すことにした。