節分に巻き寿司を丸かじりするという風習が広まったのはいつからなのか…?少なくとも私の記憶の中ではまだ十数年のことである。思えばバレンタインデーというものも小学校の高学年頃に突然浮上してきたような気がする。チョコレート菓子協会の計略が功を奏したのであろうか、今では完全に市民権を得て日本の大イベントの一つになっている。バレンタインの波及は、ハッピーな男性と残念な男性を生み出したかもしれないが、家族で巻き寿司にかじりつくイベントは、ちょっと間抜けでなかなか面白い(笑)
今年は巻き寿司を作ることにした。冷蔵庫の中に誰かにいただいたかんぴょうがあったので煮てみることにした。適当にやってみたのでドキドキだったが、真っ白なかんぴょうが飴色に染まりだんだん柔らかくなってなんとか仕上がった。煮ながら思ったのだが、こういうことはとても楽しいのだ。具の玉子を焼いたり、寿司めしを作ったり。料理とは出来上がりのイメージを一つひとつの手順をふんで現実に作り出す作業。昨今よく耳にする『願望実現』の最も身近なものなのかもしれない。それで自分が満足でき、おまけに人も喜んでくれたらなんともハッピーなことではないか…もっとも料理には『味』という問題がついてくるので毎回ハッピーとはいかないかもしれないが(笑)
玻璃真人の本に登場する本宮松子ことおマツさん。いつも手間暇かけて美味しい料理をみんなに提供するおマツさんの気持ちがちょこっと分かったような節分の夜。ちなみに寿司を巻いたのは一本だけ。家族で分けてかじったので短い金棒に…。あとは各自手巻きで。おマツさんにはまだまだ及ばないようだ。