雪の大晦日。一年分の心と身体も雪下ろしという感じです…。
今年も今日を残すのみ。一年分の重みで朝寝を決め込み、何にもしてなくても年は往き、そして来るのだと。で、結局はちょこちょこっと大掃除の真似事をするのですが…。
真言たちの大晦日はこんな感じです。
「さあ、温かいうちにいただこうか。では、今年一年の無事に感謝して…」
「いただきます」
五人は手を合わせた。
「これこれ、松福庵のお蕎麦を食べないと、年越しって感じがしないのよね」
舞香が言った。
「そうですねえ、こうやって何事も無く一年が過ぎて、大晦日にマツノさんの美味しいお蕎麦をいただけるなんて本当にありがたいですね」
松子がしみじみと言った。
葉子も蕎麦の味に大満足の様子だった。
五人は今年最後の食事を終えると、松福庵を後にした。
帰りの車のラジオからは紅白歌合戦の放送が小さく流れていた、皆言葉少なだった。誰もが自分のこの一年を振り返っているかの様に、窓の外の闇を見ていた。
屋敷に着き車を降りると、長田が空を見上げて言った。
「きれいな星空だ。明日は美しい初日の出が拝めるかもしれないな」
真言も空を仰いだ。凛と冷えた冬の夜空に宝石の様な星が輝いていた。
今年の我が家の年越し蕎麦は、ヒビコレ女将の芳子ちゃんのご主人の手打ちです。ちょうどさっき届きました。感謝!!