玻璃真人の読者の皆さんへ
作家は作品でメッセージを伝えるのが本来の形ですが、今感じていることや伝えたいことを小説として書き起こし本となるまでには長い時間がかかります。それで今回このメッセージを書かせていただきました。
私、松原由貴子本人は肝っ玉が小さいので、ややもすると否が応でも飛び込んでくる日々の情報に暗い気分になったりビビったりしています。ただもう一人の作家としての新美宇受女は、あるいは新美宇受女を通して何かを伝えようとしている存在(それは作品の登場人物たちであるかもしれないしもっと別の何かかもしれません)が、様々なことを語りかけてきます。
長田ならこう言うでしょう。『情報に振り回されるな。情報を得てそれに対処していくことは必要だが、それに感情を奪われるな』と。
今の時代情報が無い状態はとても生き辛いので知る必要はありますが、その内容に私が恐怖や怒りを感じていると、冷静であれと諭されるように感じます。情報も現象も確かに目の前にあるものだけれど、それをどう捉えてどう対処するかは私たち一人ひとりが選択するものです。怒りや恐れではなく愛と慈悲の心で立ち向かえと小説に書くのは簡単ですが、それを現実の世界で行うのは正直難しいと思います。ただどんな小さな形でもそれが実現できたなら、玻璃真人の世界はいつか現実のものとなるのだと信じたいと思います。
ミズナラの樹は分離について語りましたが、私たちの世界は他の生物との分離だけではなく、人間同士の分離の加速度も早くなってしまっているように感じます。だからこそ繋がりやコミュニティの絆を深くすることはこれまで以上に大切かもしれません。
そしてどうやら私たちはとても大きな変革期を選んで地球に生まれてきたようですね。魂レベルでは分かっているのかもしれませんが、人間レベル的にはただもう大変な時代!という感じです。もしこの時代を選んで生まれてきたのなら、いわゆるミッションがあるのかもしれません。それに気づけて生まれてくる前に決めてきた今世での計画を実行に移せればとても素晴らしいと思います。でも武士郎なら大笑いしながらこう言うでしょう。『楽しめ!』と。あれもこれも、あっちもこっちも、なんやかんやと色々ありますが、『今、ここ』で自分の魂の楽しい方へ嬉しい方へと歩み続けるのが新美宇受女流ですと結びが軽いものとなってしまいましたが、読んでいただきありがとうございます。
2021年5月23日