其の⑳…ジョン・レノンとペペロンチーノ
両脇に店舗が並ぶ広い通路に足を踏み入れると、出口までたくさんのクリスマスディスプレイが並んでいる。立派なツリーもあれば、発砲スチロールやリサイクル品を工夫して飾り付けた手作り感あふれるものもある。6時をまわり少し薄暗くなってきたメインストリートに出る。日本人向けの観光タウン誌N@chan!の発刊もとが経営するカフェ&レストランに入る。現地のスパイシーなフィナデニソースのパスタを注文しようとしたら、ペペロンチーノより辛いよ~と言われたので、ちょっとびびってペペロンチーノそれも辛さ控え目で注文した。夜中には飛行機の中、体調を崩しても困ると思ったのだ。
南米のビールを飲みながらペペロンチーノを食べる。十分辛い、ヒーハー辛いが、食べられない辛さではなく美味しくいただく。ペペロンチーノ、ビールぐびっ、添えられたガーリックトーストがぶりを繰り返す。2013年12月25日のサイパンの夜、店内にはジョン・レノンのHappy Christmasが流れている。なんか泣きそうになった。やっぱり天才だと思った。この二日間で体験したさまざまなことを包み込んでくれる曲、Happy Christmas…そしてこのタイトルにはWar isoverという続きがある。サイパンでの戦争は終わった。だが世界のどこかでクリスマスの今日も紛争,戦争が繰り広げられている。いったい私たちは彼の残したこの曲を胸を張って晴々とした心で歌うことができるのだろうか。
ほろ酔い気分で店を出てI LOVE SAIPANでお土産を買う。昨日下見をしてあったのであまり迷うこともなくセレクト。まだ十分時間があるので隣のDFSにも立ち寄る。マニャガハ島で会った例のナイスガイ、ナチュラルクリエーターのコーナーを見つけた。白い貝殻のペンダントを購入。自分の唯一のサイパン土産である。ロマンスのかけらと共に日本に持ち帰ることにしよう(笑)ホテルに帰って習ったヨガを復習したりしながら、眠らないように頑張る。どうもお腹の調子がおかしい。これはペペロンチーノに違いない。午前1時半ホテルを後にして空港に向かう。長い待ち時間の間もトイレに通う。飛行機の席が幸運にもトイレのそばでまた通う。関空に着いて皆が降り始めたが最後にもう一度。アテンダントが呆れて看ていた気がする(笑)どうにもこうにも締まりのない最終章となった。
トイレ通いの巻で終わってしまってはあまりに悲しい。サイパンで作った詩で最後を締めることにしよう。
サイパン
6階のホテルの昼下がり
開け放った窓から入る風
なぜか心地よい懐かしさ
日本の夏の午後に似ている
風 におい 空気 光 しめりけ
幾多の人々が懐かしく思ったであろう
日本の夏 祖国の夏を
大切な人々との日々を
この島に消えた命に
その悔しさに
そのせつなさに
どうぞ灯りを
どうか光を
うずめのサイパン旅行記にお付き合いありがとうございました。