其の⑮…バカンスにはアバンチュールでしょ?
水色の海に白い砂!ガイドブックの写真より天然の色は数倍輝いている。マニャガハ島に上陸するには一人5ドルの入島料を払うことになっている。ボートを降りて桟橋の受付で5ドルを差し出すのだが、何度試みてもノーノーと断られる。誰も受け取ってくれないのでそのまま桟橋を渡って島へ向かう。決して踏み倒したのではない(笑)
「ひとり?」と背後から声をかけられて振り向くと、現地の若者、こことは大切なところであるから強調しておくが、男性である。それもなかなかのナイスガイ。個人情報の都合上公開はできないが証拠の写真は撮ってある。どれどれ~?と思われる方は、個人的にうずめに閲覧を申し出てください(笑)一人だと返事をすると「え~、一人なの~?クリスマスなのに!!」と歩きながら会話が続く。「家族はどうしたの?」とまたたずねられたので「夫と息子は日本で留守番だ」と答える。すると「クリスマスに家族がバラバラなんてありえないでしょう~!」と驚いている。「いや、日本ではクリスマスはそれほど重大なイベントじゃないし、どちらかというとニューイヤーの方がビッグイベントで、その時は家族と過ごすけど…」と説明すると「ありえな~い。クリスマスは世界のビッグイベントでしょう!!クリスマスにママがいないなんて、子どもがかわいそうでしょ~!」と、あくまでもキリスト教クリスマス至上主義の観点はぶれない彼であった。
このハッピーなクリスマスのバカンスに、日本から一人マニャガハ島に来るなんて、なんて変わった気の毒なおばさんなんだろうか…とそう思ったに違いない。彼は島のガードマンをしているとのこと。「頭が痛いから売店に薬を買いに行くんだ。昨日クリスマスイブだっただろ~」と笑う。きっと家族や友だちと世界のビッグイベントを祝いまくったんだろう。「じゃあ島のこといろいろ教えてあげる」と、施設の説明などをしてくれた。ロッカーの使い方を教えてもらう。売店で買ったロッカーのコインが使えないので、かけあったのだが言葉が通じない。通訳してくれてひと段落。
ナイスガイは貝殻アート作家でもあるらしく、DFSに作品が置いてあるとのこと。「だんなさんや子どもの名前彫ることもできるからおみやげにいいよ。また電話して」と教えてくれた携帯のナンバーを登録した。あれ?キャッチセールス?という感がないわけでもないが、あれこれ面倒をみてもらったので助かった。帰りのボートが11時半だと言うと、「え~!今着いたばかりなのに!」とまたまた呆れていた。それから「泳ぐならあの辺りがいいよ。海の底は危ないからビーチサンダルは履いたままでね」とアドバイスをしてもらって別れた。
そして海へゴー!足の着く深さでも泳いでいる魚が見える美しさ。水中メガネだけでもレンタルすれば良かったかなと思う。背泳ぎでプカプカしながら青い空を眺め、もぐって魚を探し…ほんの30分足らずだがマニャガハ島の海を満喫した。シャワーを浴び、濡れた水着に上着を羽織って桟橋へ。ボートもホテルも水着のままでの移動が普通なので楽ちん。例のナイスガイには再び会うことはなかったが、現地の人と話ができたのは楽しかった。ちなみに会話はもちろん日本語。こうしてプチアバンチュールのクリスマスプレゼント付マニャガハ島のバカンスは終わった。やっぱりバカンスにはロマンが欲しいよね!帰りのボートは貸切。こんなに早い便で帰る人も少ないだろう。どこまでも変わった観光客である。