其の⑩色鮮やか!南の島の大聖堂
テニアン島を眺めたあとは、少し北上して『マウントカーメル大聖堂』へ。スペイン統治時代に建てられたサイパン島で一番大きなカトリック教会。とは言うものの第二次世界大戦で戦災を受けて現在は二代目の建物だとのこと。美しくそびえる白亜の教会もいいが、オリジナルの建物が現存していたらまた違った趣があっただろうにと思う。イタリアの聖堂のように、石の建造物は長い年月を経てもその味わいを深めながら現役で活躍をしているのだから、戦争は生き物の命を奪うだけでなく、一瞬にして文化も奪ってしまう。ああ、もったいない!
教会はとても広く天井も高い。整然と並んだ柱や椅子、敷き詰められた長い緋色の絨毯。厳かな雰囲気ではあるが、祭壇は色使いもカラフルで明るいイメージ。両サイドにはステンドグラスの窓が並ぶ。これはサイパン島の町の数だけあるらしい。教会は町ごとに一つあるそうだ。今日はクリスマスイブ。今は私たち観光客だけのだだっぴろい空間が、ミサが始まる頃には人で満たされるそうだ。
建物の裏手には墓地があり、キリスト教のお墓と日本のお墓が混在している。その中には神社の鳥居まであり不思議な光景。この島の歴史の複雑さを象徴している場所の一つだ。