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新美 宇受女の父語り…その⑤ 覆水盆に返らず 壊れたカップ
2013年5月12日 (日)

病院から家に帰った父は、帰りたがっていた我が家でひと晩を過ごしました。兄夫婦と孫夫婦が交代で朝まで父のそばで線香を絶やさぬよう起きていてくれたそうです。翌日納棺のために業者の方々が来て下さり、旅立つための衣装を着せ化粧を施してくれました。親族で遺体を浄める湯灌をしましたが、家族、親族総勢15名が次から次に拭きまくるので、父もこそばゆいやら嬉しいやらだったかもしれません。

通夜の夜は私たち娘家族と父の妹たちが一晩付き添いました。睡魔に負けてしまいましたが、線香を絶やすことなくなんとか勤めを終えました。余談ですが、葬儀会館には広いお風呂があり、寝具やアメニティも充実しており快適でした。朝ごはんも美味しくて、息子は旅行に来とるみたいやな~と感動?しておりました。

通夜・告別式もなんとか無事終了し、参列いただいた友人たちからは、いい葬儀だったと言っていただきました。

 

一連が終わった翌日は、やはり気が抜けたのか朝寝をして起きてからも椅子に腰かけ、もっとああすればよかった、もっとしてあげられることがあったのになど父のことを考えてちょっと落ち込み気味の気分でした。そして紅茶の入ったカップを持ったままついウトウトしてしまい、なんとマグカップが手からポロリと…。床は紅茶びたしでおまけにカップの柄が折れてしまいました。

それを目にして思ったことは「覆水盆に返らず」こぼれた紅茶をなげいてもどうしようもないということ。できなかったことを数えてもどうしょうもないとうことでした。割れたカップは実は二、三年前に上映された「ゴースト」という邦画で、ゴースト役の松島奈々子が映画の中で使用していたのと同じ奈々子モデルだったのです。ゴーストのカップが割れたというのもまた不思議な話で、「そんなことをいつまでもグジグジと考えていなさんな」というゴースト?父からのメッセージのようにも思えました。

お気に入りのカップを無くしたことは残念ですが、新しいお気に入りのカップを探せばいいんですよね。こぼれた紅茶がもどらないなら、新しいカップにとびきり美味しい紅茶を注ぎ直しましょう。ということで、後悔に生きるのではなく、未来に向かって今を生きなきゃね!と思う今日この頃です。

 

而今禾で買ったマグカップ。これで毎朝しょうが紅茶をいただいておりました。合掌。


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